合同会社と株式会社の違いについてご説明いたします。
合同会社と違って、株式会社は出資者を集めて資金を調達します。
その資金を元手にして、商品を仕入れたり、機材などを購入してビジネスとして経営する仕組みを採用した「モノ」を中心とした組織のスタイルです。
会社の設立当初から資金の調達が不可欠な事業内容であれば、それに見合った大きな資本が必要だからです。 合同会社は、大きな資本は必要としません。
合同会社では人の能力や技術などを資産として活用させる、個人のノウハウ自体が合同会社の資源となるからです。
「ヒト」を中心としたビジネスが展開できるのが合同会社経営のスタイルなのです。
株式会社では、資本金を出資する人たちで構成され、会社としての機関が成立します。また、出資者と経営者が分離しているので、経営者は必ずしも出資者であるとは限りません。また出資者(株主)が取締役として経営者になる必要もないのです。
合同会社は基本として出資者が合同会社の経営者となります。ですから、合同会社に出資をしていない人は合同会社では経営に参加することができないのです。
所有者と経営者が一体化しているのが、合同会社なのです。ですから、たとえば第三者に合同会社へ出資をしてもらうとした場合、その人も当然合同会社の経営に参加するということになるです。その点は合同会社設立時に十分に注意していく必要がありますね。
株式会社においては会社法上の規定に従って会社運営を行わなければなりません。
最低限、株主総会や取締役の設置は必要となったり、監査役の設置や決算公告義務など詳細にわたって制限が設けられています。
会社法改正により、株式会社も一人から設立できるようにはなりましたが、それでも株主総会を開催したり、取締役を定めて議事録まで作成しなければなりません。
合同会社のような小規模でよい起業家にとって無駄な作業が多く含まれているのです。
合同会社である日本版LLCは、LLP,合名・合資会社ともに内部機関の設計が自由に制定できるという利点が強調されます。
基本的には合同会社の経営方法は、法律によって強制されることはありません。 合同会社組織内部のルール(意思決定の方式、業務執行を行う者の裁量の範囲の制定、利益分配のルールなど)は、合同会社設立の際、定款において合意されれば自由に決めることができます。よって合同会社では柔軟な会社経営が可能となるわけです。
つまり、出資者=経営者という基本システムから、合同会社の運営についての決まり事は、出資者同士で決めればよい!ということになるわけです。
その結果として合同会社の経営上の意志決定は迅速化されます。また手間も時間もかけずに、環境の変化に対応することが合同会社では可能となるのです。
合同会社のビジネスによって生み出された事業利益は、次年度の新しい事業に使われたり、出資者に分配されますが、この利益配分に関しては株式会社と合同会社はどのように違うのでしょう。
株式会社では、会社に出資した出資比率に応じて利益が配分されるため、出資力の大きい人が多く利益を受け取る仕組みになっています。
これに対して合同会社では、自由に内部のルールを合同会社「定款」によって定めることが可能ですから、出資比率に関係なく、「合同会社利益の分配は均等にする」などというルールを合同会社の個性として決定することもできるということなのです。
合同会社は「ヒト」を中心とした形態として存続するため、合同会社に「資金や設備を提供できる人」や合同会社へ「アイデアやノウハウを提供できる人」といったように、異なる資源を持つ人が、能力に応じて自由に合同会社の利益を受けることができるということなのです。
株式会社も今では新会社法により資本金1円、役員も1名から設立できるようになり、過去も現在もビジネスの中心となっている組織です。
確かに株式会社は資金力の必要な業種向けとしてはメリット性の高い形態です。
製造業や物流品販売業や、大企業、及び「株式を上場しよう」と希望するようであれば当然株式会社を選択するのが望ましいでしょう。 では合同会社には、どのような事業が向いているのでしょうか。
一般には小さな事業、いわゆる「プチ起業家」としてスタートするには合同会社が向いています。欧米の調査統計によれば「金融・保険・不動産・リース業(51%)、サービス業(23%)、製造業(10%)」が合同会社の主な事業分野だそうです。
合同会社に向いているのは、営業当初に大きな資金を必要としないような業種、たとえばIT関連ビジネスや金融産業、コンサルティング業、デザイナーや職人さんなどです。
合同会社を設立するにあたっては、人的な資産をフルに活用させられるような業種が合同会社に向いていると言えるでしょう。
会社設立当初はたくさんお金がかかります。
合同会社にしても設立費用はなるべく最低限に抑えたいと誰しもが考えます。
会社である以上資本金を払い込んだり、登記申請を行ったり、必要書類を作成したりと手順を踏まなければならないのは、合同会社も株式会社も同じです。
新会社法によって最低資本金の規制がなくなったといっても、株式会社設立費用は従来のままです。登録免許税で15万円、公証役場の手数料が9万円(電子定款なら52000円)その他手数料など諸経費を合計すれば、専門家へ依頼しない場合でも24万円位、依頼するとなると最低でも25万円位は必要です。
※ちなみに当事務所に株式会社の設立を依頼された場合、トータルで「231700円」で設立することができます。
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合同会社では、登録免許税は6万円、定款に貼る収入印紙が4万円(電子定款の場合はこの収入印紙代は必要ありません)、公証人による定款認証手数料などはかからないため、合同会社の設立諸経費を含めても10~14万円程度で合同会社の設立が可能なのです。
こちらも専門家へ依頼するとなると別途費用はかかります。
一般的な株式会社ですと、会社の基本事項を決定することから始まり、発起人会の開催、定款の作成、出資金の払込みや取締役会の開催などを経て登記が完了するまでには、手続き期間として約1~2ヶ月程度かかるのが目安となっています。
合同会社では「定款作成」が最も大変な作業になるだけで、合同会社設立のための発起人会や役員会なども必要ないため、合同会社の基本事項の決定から合同会社登記完了までは、かなり簡単かつスピーディーに合同会社を設立することができるのです。具体的な合同会社の設立期間としては、数日から2週間程度が大体の目安となっています。
項目 | 株式会社 | 合同会社 |
---|---|---|
規模 | モノを中心とした有形資産を主体とする事業に適する | ヒトを中心とした無形資産を資源としたプチ起業向け |
出資と経営 | それぞれが分かれている。 経営者は必ずしも出資者ではない。(所有=株主、経営者=代表者) |
出資していない人が合同会社の経営に参加することはできない。 (出資者=経営者が基本) |
内部機関のルール | 株主総会や取締役会の設置をはじめ詳細な制限が設けられている。 | 自由度が非常に高い。 合同会社の定款に定めていないことは、柔軟に設定できる。 |
利益配分 | 出資比率に応じる | 定款で自由に規定 |
向いている業種 | 資金力の必要な業種向け(製造業、物流品販売業など) | 資金力を必要としない業種向け(IT関連、情報サービス業、コンサルタントなど) |
設立費用(専門家に依頼の場合は別途費用が必要) | 最低24万円~ | 約6万円位~ |
設立手順・期間 | 複雑・約1~2ヶ月かかる (専門家に依頼すれば2週間程度) | 簡素・数日~2週間程度 |
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