ホーム > 合同会社の「知識集」:【合同会社と株式会社】
新会社法の中で初めて誕生した「合同会社」はまだ一般的になじみのうすい会社形態だと思います。そこでここでは株式会社と合同会社はどのような違いがあるのか、ご説明したいと思います。
◎原則として出資者=業務執行者である
株式会社は株式を発行することで出資者(会社の保有者)を集めます。一方、業務を執行し経営するのは役員(取締役)になります。つまり出資者と経営者は別であり、「モノ」を中心とした組織運営になっていると言えます。
一方、合同会社は原則として出資者=経営者となり、出資する人が会社を運営していく経営者となります。つまり株式会社と異なり、合同会社では出資をしていない人は経営に参加することはできないのです。株式会社に比べると「ヒト」を中心とした会社組織であると言えます。
逆に言うと、第三者に合同会社へ出資をしてもらうとした場合、その人は合同会社の経営に携わる権利があるということなので注意が必要です。
◎会社の機関に関するルールがない
株式会社は会社法上の規定に従って会社運営を行わなければなりません。 どんなに小さい規模であても最低限、株主総会を開催したり、取締役の設置して議事録を作成するなどは必要となります。
個人事業で商売をやっていらっしゃる方の多くが、法人化をためらう理由の一つに、こうした会社経営のさまざまなルールや作業のわずらわしさをあげていらっしゃいます。
合同会社ですとこうしたルールに縛られず、自由に内部機関の設計ができるというメリットがあります。合同会社設立の際に作成される定款において、社員全員の合意がなされれば自由に合同会社の機関を決めることができます。
◎配当を自由に決められる
株式会社の場合、事業を通じて生み出された事業利益は次年度の投資に使われたり、出資した割合に応じて出資者に分配されます。当然、出資の額が大きい人は多くの配分をもらうことができます。
けれども合同会社では、設立時に作成する定款に定めることにより、出資比率に関係なく自由に利益を配分することができます。
◎決算公告が不要である
株式会社では毎事業年度、会社の決算を公告しなければなりません。公告の方法としては官報に記載するか、新聞やホームページで公告するなどの方法があります。合同会社ではこの決算公告が不要となります。
いかがでしたでしょうか。株式会社に比べると、合同会社は株式会社よりも「ヒト」を重視した組織であり、経営者の意志を反映させたいのであれば、株式会社より適していると言えます。