合同会社の設立手順は、株式会社に比べるととても簡単です。
合同会社の設立を考える際、自分で合同会社の設立を行う方法と、専門家に設立を依頼する方法の2つがあります。
専門家に合同会社の設立を依頼するメリットとしては次のようなものがあります。
資金調達、書類作成や取引先へのお知らせをはじめ、経営者がしなければならないことは山積みです。
専門家に依頼した方がいいのか?それとも自分の力で設立した方がいいのか?
充分にご検討ください。
設立までの流れを簡単に表すと次のようになります。
この流れに沿って合同会社 設立作業を進めるわけです。
では、①~⑥の合同会社設立の流れの中で、合同会社設立にあたって注意するポイントを挙げておきましょう。
合同会社を設立するにはまず次の基本事項を決定する必要があります。
社員、商号、事業目的、本店住所、公告の方法、決算月、資本金
これらは定款の中にも記載される重要な項目です。
では、それぞれについて詳しく説明していきます。
1、社員について
合同会社を設立するには、まず「社員」を決めなくてはいけません。
社員と言っても、お給料を払って雇う社員のことではなく、会社に対し資本金を出資し、経営に参加する人のことを指します。
自分1人で合同会社を設立するのであれば、自動的に「合同会社代表社員」となります。
しかし合同会社を複数の社員で始める場合には、設立後のトラブルを事前に防ぐためにも代表権と執行権を集約させて選任することが望ましいのです。商取引の際に代表権を持つ人が多数いると、取引先も混乱する恐れがあるからです。
代表権を持つ代表社員は、株式会社でいう代表取締役のような職務を執行する人の事をいいます。 業務執行社員=代表権を持つ合同会社社員となります。
これは、合同会社の構成員の中に、出資をしても合同会社経営に参加しない人をつくる場合にこの「業務執行社員」を決める必要があります。
例えば3人で合同会社を設立して、そのうちの2人を業務執行社員と決めた場合、残りの1人は業務執行権も代表権も持たない合同会社社員となります。
規模の小さい合同会社では、社員間の不満やトラブルを生まないためにも、よく話し合って決定することが必要です。
これらは合同会社設立時定款に記載することで明確になります。
2、商号(会社名)について
商号を決めるときの注意点を記載します。
▼商号の中に必ず「合同会社」という文字を含める
合同会社の商号には必ず「合同会社」という文字を入れる必要があります。
合同会社○○ や ○○合同会社のようにします。
新会社法では、他の会社と同じ会社名を使うことができるようになりました(ただし、所在地が別の場合です。また、故意に他の会社と間違えさせるような目的やまぎらわしいものは禁じられています)
▼使用できる文字について
使用できる文字は次のとおりです。
漢字/ひらがな/カタカナ/ローマ字/アラビア数字
一定の符合【「&」「'」「-」「.」「・」 】
▼会社名に使用できない文言について
3、事業目的について
会社が行うビジネスの内容を端的に言い表したのが「事業目的」です。
事業目的を決めるときは次のことに留意します。
4、本店住所について
「本店住所」とは会社の本社を置く住所のことです。
会社の本社をビルやマンションに置く場合、そのビル名、マンション名を入れるかどうかは自由です。
5、公告の方法について
公告とは、ある事項を広く知らせることです。
もっと具体的に書くと、会社は、法定公告といって、合併・資本金の額の減少・解散などを行ったときは、その事実を広く告知しなくてはいけないという決まりがあります。この広く告知することを公告といいます。
公告の中でも一般的に広く知られているのが「決算公告」です。これは、会社の決算内容を公開するものです。株式会社であれば必ずこの決算公告をしなくてはいけませんが、合同会社では決算公告の義務がありません。
定款の中で公告の方法を記載しない場合は、登記簿謄本に「官報」と記載されます。
公告の費用と内容をまとめると次の表のようになります。
公告方法 | 金額 | 内容 |
---|---|---|
官報に掲載する方法 | 約6万円弱です。 詳細はここをクリックしてください(官報のホームページに移ります)。 |
官報とは独立行政法人国立印刷局が発行する国の刊行物です。決算時の貸借対照表の要旨を掲載すればすみます。 |
日刊新聞に掲載する方法 | 媒体により大きく異なる。 おおよそ50万~70万円くらい。 |
日本経済新聞、朝日新聞等の新聞のこと。決算時の貸借対照表の要旨を掲載すればすみます。 |
電子公告 (ホームページ上に掲載する方法) |
ホームページ作成費用。サーバー契約料、維持費等が必要。 なお、電子公告の詳細についてはこちらをクリックしてください。 |
ホームページに公告を掲載する場合には、貸借対照表の要旨ではなく、すべの内容を公表しなくてはいけません。 |
6、決算月について
決算をする月は自由に決めることができます。
決算月を3月にした場合には、事業年度(商売をする期間)は4月1日から翌年の3月31日となります。
また、会社設立予定日から近い月を決算月にしてしまうとすぐに決算作業を行うことになりますから注意してください。
例えば現在が6月15日だとします。法務局に会社設立の書類を持っていくのが6月20日としましょう。この設定で決算月が7月であれば40日後には決算を向かえてしまうということになります。
決算月の設定を間違う方が多いのでご注意ください。
7、資本金について
合同会社の設立が例え1円でできるとしても、実際に事業を1円でスタートさせることは出来ません。
合同会社を設立するために必要なお金を事前に見積もってから合同会社の資本金を決定する必要があるのです。
会社設立資本金を決定する際に、合同会社で特に注意したいことは、原則として出資比率に応じて権利や配当が与えられるものではない。という事です。
合同会社では設立時定款に定めたルールに従って利益配分を行うことができる仕組みになっているので、たとえ設立出資額が全体の9割を占めていても、利益が折半ということもあるということです。
共同で出資設立するときはそのようなことに注意して合同会社の設立資本金の額を決定しましょう。
合同会社の場合、株式会社と違って公証役場での認証は必要ありません。
認証の手間が省ける分、公的な機関のチェックが入らないわけですから、設立書類の不備や修正で作り直しになったりしないよう、自分で設立申請する場合は特に注意して設立のための書類を作成しましょう。
設立の種類は、大きく分けて4つのパターンに分類できます。
そしてその4つのパターンに沿って定款作成や合同会社設立登記申請に必要な添付書類が大きく異なります。
合同会社設立のための書類を作成する際には、自分がどのパターンの合同会社を設立しようとしているのか、確認を取りながら進めるとよいでしょう。
また、合同会社設立にあたり、定款には絶対的に記載しなければならない項目が6つあります。
そのほかに合同会社の基本規則として設立時の定款に定めておくとよい項目には次のようなものがあります。
他、事業年度や特別に合同会社のルールを定めたい場合は記載します。
合同会社設立のための定款を作成するのに、用紙サイズに決まりはありませんが、A4サイズが主流です。
合同会社の設立にあたり、社員それぞれの出資金額が決定したら、出資金を銀行の口座に預けます。設立の登記をする際に出資金がちゃんと払い込まれていることを証明する書類が必要だからです。
◆代表者の口座に社員である出資者全員が、各々の個人名が明記されるよう「振込み」で入金処理します。まとめて振り込んでしまうと、通帳に名前が残らないため、誰が出資したかを判明できません。
◆合同会社の出資金が間違いなく払い込まれた証明のため、通帳のコピーを証明書として使います。通帳の表紙、裏面(銀行名、口座番号、名義人が記載されている部分)、実際に誰がいくら払ったかわかる明細が記載されている面の3箇所のコピーが必要です>
合同会社を設立するために必要な書類は下記のとおりです。
これらの書類を法務局へ提出した日が合同会社の設立日になります。
出来るだけ間違いのないよう、郵送でなく直接法務局へ持っていくのが望ましいでしょう。
登記が完了したら、合同会社の誕生です。 届出には提出期限のあるものがあるので、やっておくべき手続きや届出を早々に済ませましょう。
◎ 税務署への届出
合同会社を設立したら税務署(国税)へ提出しなければならないのは、下記の書類です
・青色申告の承認申請書(必須ではありませんが、節税のためほぼ100%申告します)
◎ 都道府県税事務所、市町村役場への届出
合同会社設立後、税務署だけでなく都道府県税事務所および市町村役場へも下記の書類を提出します。
◎ 日本年金機構(旧社会保険事務所)への届出
合同会社設立後は、速やかに必要となる社会保険加入の手続きをします。
◎合同会社設立後、その他の届出
合同会社の設立と同時に従業員を雇う場合は、雇用保険や労働保険の手続きが必要です。
また、許認可が必要な事業はそれぞれの管轄する役所で手続きが必要です。
合同会社のスタートにあたり、まずは法人口座を開設しましょう。
合同会社の設立登記も無事に終了し、事業を開始するとなれば、その後には会社経営者に纏わる様々な障害や問題が生じてくることがあります。法的なトラブル、経営戦略、金銭トラブルなどをはじめとして、経営者の悩みは尽きないと言われています。
合同会社の将来を考えて、頼れる専門家を見つけておくことはとても大切です。「どのような問題はどの専門家に聞くのか」というポイントを抑えてうまく活用することは合同会社を経営する上でも大切なことです。
合同会社設立と継続のために依頼できる専門家は次のようなエキスパートです。
◎行政書士:
許認可に伴う書類を作成する専門家
◎税理士:
税務・税金に関するスペシャリストです。経営相談などにものってくれます。
◎社会保険労務士:
人事・労務管理、社会保険全般に関するアドバイスや書類作成などの専門家です。保険や年金の手続きなどで頼りになります。
◎司法書士:
法務局で行う登記の手続きや裁判所に提出する手続きなど全般の仕事を行う専門家です。
◎弁護士:
法律の専門家です。会社に関するトラブルや相談、訴訟などを含めて頼りになる存在です。
◎弁理士:
商標や特許など、知的所有権に関する専門家です。
◎公認会計士:
会計の専門家です。税理士と混同されがちですが、こちらは監査が主な仕事です。
以上で、合同会社の設立の手順の説明を終わります。
長い文章をお読みいただきありがとうございました。